Review Article
心血管疾患:心血管の健康と疾患への骨髄性細胞の関与
Nature Medicine 24, 6 doi: 10.1038/s41591-018-0064-0
細胞追跡法や塩基配列解読技術の最近の進歩によって、白血球の挙動に関する我々の知見の幅は大きく広がった。その結果、単球由来マクロファージなどの炎症性細胞、またそれらの作用や産生物質が、アテローム性動脈硬化症や心筋梗塞、心不全の治療のための薬剤標的候補として検討されることが多くなった。特に有望な進展は、動脈や心筋の有害なマクロファージのサブセットが見つかり、このような細胞が持つ変化した記憶(造血系器官でのクローン性増殖でもときどき起こる)や、心血管疾患の状態で骨髄前駆細胞やマクロファージにエピジェネティックに書き込まれた記憶の存在が明らかになってきたことである。宿主防御における単球やマクロファージの役割を考えると、関連する細胞のサブセットや起源、機能を詳細に解明することは、防御的な自然免疫を維持する精度の高い治療法を設計する上で必須である。本総説では、心血管系、免疫系やその他の器官系を結び付けることの多い臨床と前臨床の新たなデータが、理論的進歩を心血管系の免疫療法が可能と思えるところにまでどのように押し進めるかについて検討する。