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白血病:DPP8/DPP9阻害剤により誘導されるピロトーシスを急性骨髄性白血病の治療に用いる

Nature Medicine 24, 8 doi: 10.1038/s41591-018-0082-y

セリンジペプチダーゼDPP8およびDPP9(DPP8/9)の小分子阻害剤は、マウスとヒトの単球およびマクロファージでピロトーシスと呼ばれる溶解型の細胞死を誘導する。マウスの骨髄系細胞では、Dpp8/9阻害はインフラマソームセンサーNlrp1bを活性化し、Nlrp1bは次いでプロカスパーゼ-1を活性化して細胞死を誘導するが、ヒト骨髄系細胞でDPP8/9阻害剤が誘導するピロトーシスの機序はまだ知られていない。今回我々は、CARD含有タンパク質CARD8が、ヒト骨髄系細胞でDPP8/9阻害剤誘導性でプロカスパーゼ-1に依存するピロトーシスに関わっていることを示す。さらに、DPP8/9阻害剤はヒト急性骨髄性白血病(AML)細胞株と初代AML細胞試料の大多数でピロトーシスを誘導するが、他の多くの系列の細胞では誘導しないこと、また、このような阻害剤がマウスモデルでのヒトAMLの進行を阻害することが明らかになった。まとめると、今回の結果はヒト細胞におけるCARD8の活性化因子を明らかにし、DPP8/9の小分子阻害剤によるCARD8の活性化がAMLの新たな治療戦略候補となることを示している。

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