Letter
糖尿病:1型糖尿病を最近発症した成人でのベラパミルとβ細胞機能
Nature Medicine 24, 8 doi: 10.1038/s41591-018-0089-4
膵臓β細胞の喪失は、1型糖尿病(T1D)の発症における重要な要因だが、この過程を停止させる治療法はまだない。我々は以前、承認済みの降圧剤であるカルシウムチャネル遮断薬ベラパミルが、チオレドキシン結合タンパク質の発現低下により、マウスモデルでインスリン産生β細胞の生存を促進し、糖尿病を回復させることを報告した。これらの知見をヒトに適用するために、T1Dを最近発症した成人被験者で第II相無作為化二重盲検プラセボ対照臨床試験(NCT02372253)を行って、標準的なインスリン治療に加えて12か月にわたりベラパミルを経口投与し、その効果と安全性を評価した。ベラパミル投与は、プラセボと比べて忍容性が良好で、3か月と12か月の時点で改良型混合食刺激後のCペプチド濃度曲線下面積(内在性β細胞機能の尺度)との関連(事前に指定した主要評価項目)が見られたのに加えて、インスリン必要量増加の抑制や、低血糖発作の減少、的確な血糖管理(副次的評価項目)とも関連していた。従って、1日1回のベラパミル経口投与の追加は、T1Dを最近発症した成人で内在性β細胞機能を増進し、インスリン要求性と低血糖発作を軽減する、安全かつ効果的な新規治療法となる可能性がある。
N&V p. 1089