Perspective
抗生物質:宿主体内の細菌間の競争についての知識を抗生物質開発に生かす
Nature Medicine 24, 8 doi: 10.1038/s41591-018-0145-0
抗生物質耐性は最近、驚くべき速度で広がっており、新規な抗生物質開発の減少と相まって、公衆衛生に対する深刻な懸念を引き起こしている。その上、最近の抗生物質は我々の体内に生息する有益な共生微生物群(微生物相)も標的とするため、健康へ大きな影響を与えることがある。従って、この「抗生物質の危機」という問題への解答を考える際には、感染性病原体に対する新たな治療法を開発するための幅広く創造性のある取り組みが欠かせない。本総説では、in vivoでの微生物の競合の研究からどんな知識が得られるのか、また細菌性病原体を選択的に標的とする狭いスペクトルを持ち、微生物相への有害な影響を最小限にする新たな治療法を考案する上で、こうした知識がどのように役立つのかについて論じる。