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がん治療:血液ベースの腫瘍変異量はアテゾリズマブ治療を受けた非小細胞肺がん患者での臨床的有効性の予測因子となる
Nature Medicine 24, 9 doi: 10.1038/s41591-018-0134-3
PD-L1–PD-1(programmed death-ligand 1–programmed death 1)阻害剤は幅広い有効性を示すが、転帰の改善が観察されているのは、PD-L1高発現患者もしくは腫瘍変異量(tumor mutational burden:TMB)の高い患者においてである。PD-L1検査は、非小細胞肺がん(NSCLC)のフロントライン療法としてチェックポイント阻害剤単独療法を行う際に必要とされる。しかし、進行がんの患者で分子検査に適した腫瘍組織を得ることは困難な場合がある。免疫療法が有効となる可能性のある患者を見つけ出すための、組織を用いない診断手法が必要とされているが、いまだに見つかっていない。本論文では、組織を用いる手法とは別の、血液を用いて血漿中TMB(bTMB)を測定するという新規で技術的にロバストな方法を報告する。2つの大規模な無作為化臨床試験の後ろ向き解析を用いて、この方法の試験および検証を行ったところ、bTMBはNSCLCの第二候補以降の治療薬であるアテゾリズマブ(抗PD-L1薬の1つ)によって無増悪生存期間が臨床的に有意に改善される患者を再現性よく特定することが分かった。まとめると、我々のデータは、高いbTMB値がNSCLCでのアテゾリズマブ投与に対する臨床的に使えるバイオマーカーであることを示している。