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カンナビジオールの人気急上昇に押されて代謝機構の解明研究が急がれている
Nature Medicine 25, 10 doi: 10.1038/d41591-019-00018-5
大麻成分であるカンナビジオール(CBD)の製剤が承認されるようになったのはここ10年ほどのことで、こうした薬剤は多発性硬化症の治症状緩和や抗てんかん薬として用いられている。多様な効果が期待されるCBD製剤の開発競争は盛んだが、向精神作用がないとされ、規制対象外であるCBDの健康食品や鎮痛用としての人気も爆発的で、コーヒーからタンポンまでさまざまなCBD製品が薬局で売られている。CBDは幅広い症状に効く可能性があるとされているが、それはこの化合物が疼痛や気分、代謝、生殖その他に関与する内在性カンナビノイド系の多様な受容体に結合するからである。受容体は神経系だけでなく、心臓や肝臓、免疫細胞にも存在する。大麻使用の歴史は長いが、CBDが体に吸収されて代謝される仕組みについて分かっていることは、まだ驚くほど少なく、服用に関する情報は極めて乏しい。服用量によって作用が大きく変わるので、高脂肪食とともに摂取した場合に血漿中濃度が急上昇すること、腎臓機能を考慮して投与量を決める必要があることなどが徐々に明らかになってきており、代謝機構の解明は喫緊の課題となっている。