Review Article
心血管代謝疾患:低所得国および中所得国で心血管代謝疾患が増加する理由の解明
Nature Medicine 25, 11 doi: 10.1038/s41591-019-0644-7
非感染性疾患(NCD)、特に心血管疾患、脳卒中、糖尿病などの心血管代謝疾患の有病率の増加とそれらの主要なリスク因子は、どんな状況下でも一律というわけではない。例えば、心血管疾患の死亡率は、高所得国ではこの数十年にわたって低下してきたが、低中所得国(low- and middle-income countries:LMIC)では増加した。この増加に関わっている要因はさまざまであり、中でも健康の環境的、社会的、政治的、また商業的決定要因は大きな影響を及ぼす。本総説では、LMICでの心血管代謝疾患の増加理由の解明を中心テーマとして取り上げ、特に肥満とその促進因子、健康に対するより広い意味での環境的決定要因やマクロな決定要因、さらに心血管代謝疾患に対抗するためのLMICを本拠地とする取り組みに重点を置いて論じる。