Perspective
慢性炎症:一生にわたって疾患の原因となる慢性炎症
Nature Medicine 25, 12 doi: 10.1038/s41591-019-0675-0
炎症が断続的に増大することは、身体の損傷や感染の際には非常に重要である。しかし最近の研究によると、社会的、環境的、さらに生活スタイルに関わる特定の要因が全身性慢性炎症(SCI)を促進することがあり、これがさらに心血管疾患、がん、糖尿病、慢性腎疾患、非アルコール性脂肪性肝疾患、自己免疫疾患や神経変性疾患といった、ひとまとめにすれば障害や死亡の世界的な主要原因となる複数の疾患につながる可能性があることが明らかになっている。本稿で我々は、SCIの基盤にある複数レベルにわたる機構や、健康に害をもたらすこの表現型を促進する多数のリスク因子について述べる。それらには、感染、運動不足、貧しい食生活、環境や工業がもたらす毒物、また精神的ストレスなどが含まれる。また、SCIの早期診断や予防、さらに治療を進展させるためのいくつかの戦略候補を提案する。