News

2019年を振り返る

Nature Medicine 25, 12 doi: 10.1038/s41591-019-0679-9

2019年は従来の型を破る研究が多数行われ、新しい生物学的事象が解明され、また新規薬剤標的が明らかになった。Nature Medicine 恒例の年末特集ではまず、生物医学を大きく進展させたことで評判が高かった今年度発表の論文の一部を紹介する。

健康政策分野では、電子タバコの影響が話題を集めた。英国で行われた臨床試験で他のニコチン含有製品よりも禁煙に高い効果があるという結果が出た電子タバコだが、使用者が重篤な急性肺疾患で入院する例が続発し、健康への悪影響は次第に明らかになってきた(N. Eng. J. Med. 380, 629–637 (2019))。注目のがん治療法では前立腺がんの新しい治療薬が開発され(N. Engl. J. Med. 381, 121–131 (2019))、免疫療法にもNK細胞を用いる新しい戦略が登場した(Cell 177, 1701–1713.e16 (2019))。1型糖尿病については、β細胞の喪失を防ぎ、発症を遅らせるという新薬についても治験が進行中である(N. Engl. J. Med. 381, 603–613 (2019)〕)。また機械学習アルゴリズムの急速な進展によって、標準的な医療画像を使って診断を迅速かつ正確に行う方法が大規模に検証され、専門家並みの精度であることが確認されたが、実用化にはまだ時間がかかりそうだ(Lancet Digit. Health 1, e271–e297 (2019))。これらの他にも腸内微生物相の影響(Nat. Microbiol. 4, 623–632 (2019), Science 364, eaau6323 (2019))、心疾患の免疫療法(Nature 573, 430–433 (2019))、従来とは異なる手法によってHIVの治癒を目的とした研究(Nature 568, 244–248 (2019))なども大きな関心を集めた。
【2019 Year in Review 】 https://www.nature.com/nm/volumes/25/issues/12#YearinReview

目次へ戻る

プライバシーマーク制度