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再生医療:脊髄損傷修復のための3Dプリンター技術を使ったバイオミメティックな足場
Nature Medicine 25, 2 doi: 10.1038/s41591-018-0296-z
機能を備えた組織をバイオプリンティングにより作製する現在の方法に欠けているのは、細胞増殖の誘導や組織成熟の促進に不可欠な複雑な3D微細構造を構築するのに適したバイオファブリケーション技術である。中枢神経系(CNS)構造の3Dプリンティングは、CNS構造の複雑性のためと思われるが、まだ完成していない。本論文では、脊髄での再生医療に応用するための複雑なCNS構造のμCPP(microscale continuous projection printing method)法を使った作製について報告する。μCPPは齧歯類の脊髄のサイズに合うように調整したバイオミメティックな3Dヒドロゲルの足場を1.6秒内にプリントでき、これはヒト脊髄のサイズや損傷部位の形状に合わせて拡大縮小可能である。我々は、μCPP 3Dプリンティングによって作製された足場に神経前駆細胞(NPC)を移植し、これが齧歯類でin vivoでの軸索再生を支え、また脊髄の完全損傷部位を越えて新しい「神経リレー」を形成できるかどうか、その能力を調べた。損傷を受けた宿主軸索は再生して3Dのバイオミメティック足場内に進入し、この装置に移植されたNPCとシナプスを形成した。移植されたNPCはさらに足場の外に軸索を伸ばして損傷部位の下の宿主脊髄に到達してシナプス伝達を回復させ、機能的転帰を大幅に改善した。従って、3Dプリンターによるバイオミメティックな足場は、高精度医療によってCNS再生を促進する手段となる。