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感染症:結核菌に繰り返し曝露されたアカゲザルでの局所的BCG投与による感染と疾患の予防
Nature Medicine 25, 2 doi: 10.1038/s41591-018-0319-9
結核(TB)はいまだに最も致死性の高い感染性疾患であり、広く使われているBCG(Bacillus Calmette-Guérin)ワクチンでは流行を阻止できない。ワクチン戦略が改善されれば、費用対効果の高い介入ができるようになり、伝播サイクルが断ち切られて抗微生物薬耐性が防止されるだろう。防御免疫に非常に重要な宿主応答が十分に解明されていないことは、TBワクチン療法改善の進展を妨げている。従って、最良の候補ワクチンを選び出すために、臨床でのワクチン試行に先立って前臨床モデルで新たな戦略を評価することは依然として不可欠である。我々はこれまでに、標準的な皮内注射では成功していないTB疾患発症抑制が肺粘膜へのBCG投与によって達成できることを、アカゲザル(Macaca mulatta)で確認している。本論文では、限界量の結核菌(Mycobacterium tuberculosis)に反復曝露したモデルを使って肺へのBCG投与が感染を防止すること、また複数の機能を持つ17型ヘルパーT(TH17)細胞、インターロイキン10、および免疫グロブリンAが局所の防御免疫と相関していることを示す。これらの知見は、TBの感染拡大をより効果的に防止するために、粘膜からの免疫という戦略やその臨床応用への移行研究をさらに進めることの必要性を実証している。