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黒内障:レーバー先天性黒内障10型での視力喪失を遺伝子編集によって回復させる
Nature Medicine 25, 2 doi: 10.1038/s41591-018-0327-9
レーバー先天性黒内障10型(LCA10)は、CEP290遺伝子内の変異が原因の重篤な網膜ジストロフィーである。我々が開発したEDIT-101は、CEP290遺伝子のIVS26変異により生じた異常なスプライスドナーを除去し、正常なCEP290の発現を回復させるためのゲノム編集治療薬候補である。黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)のCas9とガイド鎖RNAの対が、ヒトのCEP290標的配列に対して非常に高い活性で特異的に反応し、この治療法にとって重要であることが分かった。また、ヒト細胞および網膜外植片を用いたin vitro実験で、作用の分子機構とヌクレアーゼの特異性が明らかにされた。ヒト化CEP290マウスで網膜下にEDIT-101を送達すると、CEP290遺伝子の迅速かつ持続的な編集が見られた。さらに、これと同等な非ヒト霊長類(NHP)代替ベクターでも、標的治療の閾値に達するレベルでのNHP CEP290遺伝子の編集が起こり、CRISPR–Cas9がin vivoで霊長類体細胞の遺伝子編集を行えることが実証された。今回の結果は、LCA10のためのEDIT-101や、他の遺伝性網膜疾患のためのCRISPRを用いた治療薬の開発持続を理由付けるものである。