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がん:浸潤前の肺がん病変のゲノム、エピゲノム、およびトランスクリプトームの全体像の解読

Nature Medicine 25, 3 doi: 10.1038/s41591-018-0323-0

がんが出現する前に細胞に起こる分子レベルの変化については、ほとんど調べられていない。肺の上皮内がん(CIS)病変は、扁平上皮がんに進行する前の浸潤前状態である。この段階のがんは、光学顕微鏡的には同一であるが、その先は、半分が浸潤がんに進行し、もう半分が退縮あるいは変化しないままという均衡状態になる。臨床でのこのような観察結果の細胞的基盤は分かっていない。今回我々は、長期にわたって観察されてきた浸潤前がん患者からなる珍しいコホートで、CISのゲノム、トランスクリプトーム、およびエピゲノムの全体像のプロファイリングを行った。予測モデル化によって、どの病変が進行するかが、非常に高い精度で突き止められた。広範囲にわたる不均一性が強力な染色体不安定性シグネチャーと共に見られる遺伝的背景上で、進行特異的なメチル化の変化が明らかになった。がんの特徴となる変異やコピー数変化が観察され、それらの出現を図表化することで、早期発がんを知る手掛かりが示された。がん前駆細胞の生物学的性質についての今回の新たな解明は、肺がんの早期発見の改善、過剰治療の削減や初期クローン事象を標的とする予防的治療の促進をもたらすと、我々は考えている。

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