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炎症:ApoEは活性化されたC1qとの複合体形成によって消散できない炎症を減弱させる
Nature Medicine 25, 3 doi: 10.1038/s41591-018-0336-8
アポリポタンパク質E(ApoE)は、アルツハイマー病やアテローム性動脈硬化などの消散されない炎症状態と関連しているが、これらに共通する作用機序は明らかになっていない。我々は、ApoE欠損マウスで酸化された脂質が古典的な補体経路(CCC)を活性化し、その結果、脈絡叢(ChP)の白血球浸潤が起こることを見いだした。ヒトApoEアイソフォームは全てが、in vitroで活性化したCCC開始C1qタンパク質に高い親和性(KD ~140–580 pM)で結合することによってCCC活性を減弱させ、C1q–ApoE複合体はin vivoで、疾患状態のChP、Aβ斑、およびアテローム性動脈硬化で生じている補体活性のマーカーであることが明らかになった。ヒトChP、Aβ斑、および動脈中に存在するC1q-ApoE複合体はそれぞれ、認知機能低下とアテローム性動脈硬化と相関していた。全ての補体経路によって形成されるC5に対する低分子干渉RNA(siRNA)の投与は、マウスChPの炎症、Aβに関連したミクログリア集積、およびアテローム性動脈硬化を減弱させた。従ってApoEは、消散されない炎症の直接的なチェックポイント阻害因子であり、C5の減少は疾病負荷を軽減する。