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FOCUS がん治療:ネオアジュバント療法としてのPD-1阻害薬の単回投与は切除可能な黒色腫の臨床転帰を予測する
Nature Medicine 25, 3 doi: 10.1038/s41591-019-0357-y
黒色腫患者では、抗PD-1療法に対する免疫学的反応は迅速に起こり、3週目までに薬力学的なT細胞応答が血中で検出可能になる。しかし、このような早期の血液所見が、腫瘍の微小環境を表しているかは明らかではない。今回、ステージIII/IVの黒色腫で抗PD-1阻害薬によるネオアジュバント/アジュバント療法についての治験を行った。我々は、腫瘍での免疫再活性化が3週目には検出可能となり、またこの応答が無病生存と相関するだろうと予測した。27人の患者のうち8人で迅速かつ強力な抗腫瘍応答が検出され、単回の抗PD-1投与後、病理学的完全奏効もしくは大奏功が見られ、8人全てで無病状態が続いている。このような迅速な病理学的応答と臨床的応答は、3週目に見られた疲弊したCD8T細胞の腫瘍内蓄積と関連していて、また疲弊したT細胞の再活性化は1週目という早い時期に血液中で観察された。転写解析によって、臨床的有効性と関連する治療前免疫シグネチャー(ネオアジュバント応答性シグネチャー)が明らかになった。これとは対照的に、腫瘍が再発した患者では、免疫抑制や変異による免疫回避、腫瘍の進化などの耐性機構が見られた。ネオアジュバント療法としての抗PD-1療法は、リスクの高い切除可能なステージIII/IVの黒色腫で有効である。ネオアジュバント療法としての単回投与後の病理学的応答と免疫学的解析結果は、臨床転帰の予測やチェックポイント阻害の基盤となる機構の解明に使えると考えられる。