Review Article

がん治療:小児がんの発生起源と新たに出現した治療機会

Nature Medicine 25, 3 doi: 10.1038/s41591-019-0383-9

先進国では、がんが疾患による小児死亡の主要な原因である。活発に増殖中の組織に生じる小児がんは、本来的には発生の調節異常による疾患といえる。小児期のがんは、総体的な遺伝子変異量が成人のがんよりも低い。また最近の塩基配列解読研究からは、小児期の発がんにとって重要なゲノム変化事象に、広範囲にエピジェネティックな変化をもたらす変異や融合型がんタンパク質を生じさせる転座が含まれることが明らかになっている。本総説では、小児がんの発生起源、小児期のがん発症例の多くで組織幹細胞/組織前駆細胞に見つかるエピジェネティックな調節異常、また細胞に内在する標的や微小環境中の標的を対象とする新たな治療機会の出現、小児がん治療に起因し長く続く後遺症の基盤となる機構についての新しい知見などについて概説する。

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