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がん免疫:グルタミニルシクラーゼは、CD47-SIRPα軸の酵素性修飾因子であり、がん免疫療法の標的である
Nature Medicine 25, 4 doi: 10.1038/s41591-019-0356-z
がん細胞は、免疫エフェクター細胞上の同族受容体に結合する阻害性リガンドを発現することで、免疫監視を回避できる。PD-L1(programmed death ligand 1)は活性化して機能障害を起こしたT細胞上のPD-1に結合するため、腫瘍微小環境でのPD-L1発現は腫瘍特異的T細胞応答の主要な免疫チェックポイントである。マクロファージや好中球などの骨髄系細胞の活性も同様に、刺激性シグナルと阻害性シグナルのバランスで調節されている。特に、CD47タンパク質の細胞表面での発現は、骨髄系細胞上に発現しているSIRPαへの結合によって、腫瘍細胞での「私を食べないで」シグナルを作り出す。我々は、一倍体細胞を用いる遺伝学的スクリーニングを使って、QPCTL(glutaminyl-peptide cyclotransferase-like protein)がCD47-SIRPαチェックポイントの主要な構成因子であることを突き止めた。生化学的解析によって、QPCTLは生合成直後のCD47のSIRPα結合部位にピログルタミン酸を形成するのに重要であることが明らかとなった。QPCTL活性を遺伝学的もしくは薬理学的手法によって阻害すると、腫瘍細胞の抗体依存性細胞貪食と抗体依存性細胞傷害が増強された。さらにQPCTLの発現を阻害すると、in vivoで好中球による腫瘍細胞殺傷の顕著な増加につながった。これらの結果は、QPCTLが、CD47経路の阻害によってがんの抗体療法を増強するための新規標的となることを明らかにしている。