Article

がん治療:ERK阻害とオートファジー阻害の組み合わせを膵臓がんの治療法とする

Nature Medicine 25, 4 doi: 10.1038/s41591-019-0368-8

膵管腺がん(PDAC)は、KRASおよびオートファジーに依存する腫瘍形成性増殖を特徴とするが、オートファジーの支持におけるKRASの役割は確立されていない。我々は、KRASの抑制が、オートファジーのエフェクターであるERK MAPKの薬理学的阻害と同じく、オートリソソームによるタンパク質分解量(autophagic flux)を意外にも増加させたことを示す。さらに、KRAS抑制もしくはERK阻害は、解糖機能とミトコンドリア機能の両方を低減させることが明らかになった。従って我々は、ERK阻害は、他のKRASもしくはERK誘導性代謝過程を障害することが一因となって、PDACのオートファジー依存性を増強させているのではないかと考えた。そして、オートファジー阻害剤のクロロキンと特定のオートファジー調節因子群の遺伝学的もしくは薬理学的阻害が、KRAS誘導性PDACでERK阻害剤の抗腫瘍活性を相乗的に増強することを見いだした。我々は、ERK阻害に応じて活性化されるオートファジー過程とERK MAPKの両方を同時に阻害するような薬理学的阻害剤の組み合わせが、PDACの効果的な治療法となると考えている。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度