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がん治療:Siglec-15は免疫抑制因子で、がん免疫療法正常化のための標的候補である

Nature Medicine 25, 4 doi: 10.1038/s41591-019-0374-x

腫瘍微小環境(TME)でのB7-H1(PD-L1)分子の過剰発現は、一部のがん患者で主要な免疫回避機構となっており、B7-H1/PD-1の相互作用を抗体によって阻害すると、低下した免疫を過剰な副作用なしに正常化することができる。我々はゲノム規模のT細胞活性アレイを使って、Siglec-15が重要な免疫抑制因子であることを突き止めた。Siglec-15は、正常時には一部の骨髄系細胞にしか発現していないが、ヒトがん細胞や腫瘍に浸潤している骨髄系細胞では広く発現が上昇していて、その発現はB7-H1発現と相互排他的である。その一因は、Siglec-15がマクロファージコロニー刺激因子によって誘導され、IFN-γによって下方調節されることにある。Siglec-15はin vitroおよびin vivoで、抗原特異的なT細胞応答を抑制することが示された。Siglec-15の遺伝的除去や抗体による阻害は、TMEでの抗腫瘍免疫を増強し、一部のマウスモデルでは腫瘍増殖を阻害した。まとめると、我々の結果はSiglec-15ががん免疫療法正常化のための標的候補であることを裏付けている。

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