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免疫:ヒト新生児における母体由来抗ウイルス抗体のレパートリー
Nature Medicine 25, 4 doi: 10.1038/s41591-019-0392-8
ヒト新生児の血中免疫グロブリンG(IgG)抗体は全て母体由来であり、胎盤を通って送り込まれ、生後15週になって新生児のIgG産生に引き継がれるまで、受動免疫を担う。しかし、母体由来のIgGは、新生児のワクチン応答を妨げるように干渉することがある。IgGの濃度は妊娠第3三半期に急激に増加し、超早産児はこの受動免疫がほとんど欠如していると考えられている。個々のウイルスに対する抗体は報告されているが、母体由来IgGの全体のレパートリーや、新生児ごとのそのばらつき、標的とされるエピトープについては、ほとんど明らかにされていない。本論文では、早産の母子32組と正期産の母子46組について、206のウイルスからの9万3904のエピトープに対する抗体を評価した。超早産児は、正期産児と似たIgGレパートリーを受け取っていることが分かったが、絶対濃度は低く、その結果半減期は短かった。臨床的に重要な呼吸器合胞体ウイルス(RSウイルス)の中和も、生後3か月までは同程度であった。これらの所見は、新生児の感染症感受性やワクチン開発、ワクチン接種時期を明らかにするのに重要である。