Letter
がん/精密医療:ctDNAは臨床試験初期段階での患者選択の支援に有用である:TARGET研究
Nature Medicine 25, 5 doi: 10.1038/s41591-019-0380-z
循環血中腫瘍DNA(ctDNA)の次世代シーケンサーによる塩基配列解読は、血液を用いるゲノムプロファイリングを支援するが、第I相臨床試験の設定ではまだルーチンとして行われていない。分子プロファイリングプログラムであるTARGETは、641のがん関連遺伝子パネルについて単回のctDNAアッセイで調べた体細胞変異とコピー数変異(CNA)の両方の解析に基づいて、多様な進行がんの患者を初期段階の臨床試験にマッチさせることを主な目的とする。最初の100人のTARGET患者では、ctDNAデータはマッチさせた腫瘍とよく一致しており、Molecular Tumor Board(MTB)での検討に対して、臨床的に許容範囲の時間枠内で結果が得られた。2.5%のバリアント対立遺伝子頻度(VAF)閾値を適用したところ、100人中41人の患者で対処可能な変異が見つかり、そのうちの11人はマッチした治療を受けた。これらのデータは、この臨床試験初期段階の設定でctDNAを用いる有効性を裏付けており、この設定では、同時に採取した腫瘍試料の広範なゲノムプロファイリングは、新規治療に対する患者層別化の質を向上させ、血液分析をルーチンとして臨床現場に持ち込むための実際の例となる。