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がん:がん細胞株の代謝の全体像

Nature Medicine 25, 5 doi: 10.1038/s41591-019-0404-8

がんの代謝的変化が明らかになれば、ドラッガブルな脆弱性が見つかる可能性がある。そのため、こうした研究には相当な労力が注ぎ込まれているが、代謝はゲノムの機能的特性や関連する依存性と関係しているため、体系的な特性解析はほとんど行われていない。今回我々は、がん代謝の多様性をさらに詳しく調べるために、CCLE(Cancer Cell Line Encyclopedia)中の20種以上のがんから作製された928の細胞株で、液体クロマトグラフィー–質量分析(LC-MS)を使い225種類の代謝産物のプロファイリングを行った。この結果は、がんメタボロームを遺伝学的変化、エピジェネティックな特性、および遺伝子依存性に結び付ける不偏的な関連解析を可能にする。加えて、バーコード付けした細胞株のスクリーニングによって、ASNSの異常な高メチル化が、胃がんや肝臓がんのサブセットをアスパラギナーゼ療法に感受性とすることが分かった。また、我々の解析によって、モデルがん細胞株では免疫抑制性代謝産物であるキヌレニンの合成と分泌のパターンが異なることも明らかになった。まとめると、今回の知見やそれに関連した方法論は、がん代謝の全体像の解明に役立つであろう包括的情報源を提供するものである。

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