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がん治療/ワクチン療法:in situワクチン接種による臨床での全身的腫瘍退縮とPD1阻害の増強

Nature Medicine 25, 5 doi: 10.1038/s41591-019-0410-x

低悪性度の非ホジキンリンパ腫(iNHL)は標準治療では治らず、チェックポイント阻害に対する応答性が低い。リンパ腫細胞はプライミングを受けたT細胞によって効率よく殺傷されるが、抗リンパ腫T細胞のin vivoでのプライミングは難しい。今回我々は、リンパ腫細胞はT細胞を直接プライミングできるが、in vivoでの免疫にはクロスプレゼンテーションが必要であることを示す。この問題に対処するために、我々はFlt3L、放射線療法、およびTLR3アゴニストを組み合わせたin situワクチン(ISV)を開発した。これによって、抗原を搭載し、活性化され、腫瘍内でクロスプレゼンテーションを行う樹状細胞(DC)が動員された。現在進行中の臨床試験(NCT01976585)では、ISVは進行期iNHL患者で抗腫瘍CD8+ T細胞応答および全身的な(遠達的な)がん退縮を誘導した。非奏功患者では、ISV投与後にPD1+CD8+ T細胞集団が発生し、マウス腫瘍はPD1阻害に対して新たに応答性となり、この併用療法の追跡試験の必要性が示された。我々のデータは、腫瘍内にあってクロスプライミングを行うDCの動員と活性化は達成可能であり、抗腫瘍T細胞応答とPD1阻害の有効性のために重要であることを実証したものである。

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