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がん:腫瘍創始細胞はメチオニンに代謝的に依存している

Nature Medicine 25, 5 doi: 10.1038/s41591-019-0423-5

細胞の代謝の解明は、がんでの代謝経路を標的とする新しい治療法の開発につながる可能性が非常に高い。腫瘍性細胞集団の代謝経路は、正常組織と比べた場合、変化が生じている。しかし、腫瘍内のがん細胞は不均一であり、重要な治療標的である腫瘍創始細胞(tumor-initiating cell;TIC)の代謝特性はまだ解明されていない。TICでの代謝の変化を解明するため、我々はメタボローム解析と代謝産物の追跡および解析を行った。その結果、TICでは、メチオニン代謝回路の活性とMAT2Aが促進するメチル基転移速度が非常に高くなっていることが明らかになった。メチオニン回路活性の上昇によって、メチオニンの消費がその産生を大きく上回るようになり、結果的に細胞は外部のメチオニンに強く依存するようになる。メチオニン回路の薬理学的阻害は、たとえ一過的なものであっても、TICの腫瘍創始能を損なうのに十分である。メチオニン回路の流量は、がん細胞のエピジェネティックな状態に特異的に影響を及ぼし、腫瘍形成開始を促す。メチオニン回路に含まれる酵素群の含量は他種類の腫瘍でも高くなっており、MAT2Aの発現は一部のがん細胞の治療薬による阻害に対する感受性を損なう。

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