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神経膠芽腫:CD73が神経膠芽腫で併用できる治療標的であることがヒト腫瘍免疫プロファイリングによって確認された
Nature Medicine 26, 1 doi: 10.1038/s41591-019-0694-x
抗CTLA-4抗体と抗PD-1/PD-L1抗体を用いた免疫チェックポイント療法は、多くの固形腫瘍の治療に大変革をもたらした。しかし、免疫チェックポイント療法の臨床での有効性は、特定のタイプの腫瘍を持つ一部の患者に限定されている。免疫チェックポイント戦略を組み合わせて用いる臨床試験は多数が進行中だが、免疫チェックポイント療法による腫瘍特異的標的化の機構の論拠は曖昧である。我々は、腫瘍特異的な免疫調節性標的についての手掛かりを得るために、5種類のがんタイプの患者94人について解析を行った。取り上げられたがんタイプには、免疫チェックポイント療法に比較的よく応答する患者と、あまり反応しない患者(多形神経膠芽腫、前立腺がんや大腸がんなどの患者)が含まれている。マスサイトメトリーと単一細胞RNA塩基配列解読により、抗PD-1治療後も持続している多形神経膠芽腫で、CD73hiマクロファージの独特な集団が見つかった。CD73の標的化が多形神経膠芽腫での併用戦略の成功に重要であるかどうかを調べるために、我々はCD73−/−マウスを用いてリバーストランスレーショナル研究を行った。CD73が存在しない場合は、抗CTLA-4抗体と抗PD-1抗体で治療を行った多形神経膠芽腫マウスモデルの生存が改善されることが分かった。我々のデータは、CD73が、多形神経膠芽腫での免疫チェックポイント療法への抗腫瘍免疫応答を改善するための特異的な免疫治療標的であり、ヒトでの包括的研究とリバーストランスレーショナル研究は、併用免疫チェックポイント戦略の合理的設計に使えることを実証している。