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遺伝病:ゼブラフィッシュモデル、バイオバンクとの連携および臨床研究を介してフェノームを用いる方法により特定されたRIC1連鎖メンデル型症候群
Nature Medicine 26, 1 doi: 10.1038/s41591-019-0705-y
遺伝子型と表現型の関係を見いだすことは、いまだに臨床医学における主要な難問である。今回我々は、表現型データの3つの供給源を組み合わせることで、コラーゲン分泌不全が原因のまれな疾患とありふれた疾患に対する新たな発症機構を見いだした。ゼブラフィッシュの遺伝学的スクリーニングからは、ric1が骨格の生物学的性質に必須の遺伝子であることが突き止められた。さらに、EHR(電子健康記録)にリンクされたBioVUバイオバンクでの遺伝子に基づくフェノーム規模関連研究(PheWAS)を使って、RIC1の遺伝学的に定量された発現低下が、筋骨格や歯の症状と関連することを明らかにした。全エキソーム塩基配列解読では、RIC1のまれなバリアントについて同祖性ホモ接合型の個人が特定され、これまでの結果を考慮して臨床再評価を行ったところ、BioVU関連フェノームと兆候が共通していることが分かった。我々は、このメンデル型症候群をCATIFA(cleft lip, cataract, tooth abnormality, intellectual disability, facial dysmorphism, attention-deficit hyperactivity disorder)と命名し、さらなる疾患機構を明らかにした。遺伝子に基づいたPheWAS誘導型のこの手法は、臨床的意味のある疾患フェノームとそれに関連した生物学的機構の発見を加速できるだろう。