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がん:METエキソン14変異を有する肺がんでのクリゾチニブの抗腫瘍活性

Nature Medicine 26, 1 doi: 10.1038/s41591-019-0716-8

METエキソン14変異は、非小細胞肺がん(NSCLC)の発がんドライバーである。このような変異は、MET活性の増大や前臨床でのMET阻害に対する感受性と関連する。クリゾチニブは、METに対して強力な活性を有するマルチキナーゼ阻害剤である。我々は、クリゾチニブの抗腫瘍活性と安全性を、METエキソン14変異を有する進行性のNSCLC患者69名で評価した。奏効率は、抗腫瘍効果が評価可能な65名の患者で32%〔95%信頼区間(CI)、21–45〕であった。客観的効果は、これらのがんの特徴である分子レベルでの不均一性とは無関係に認められ、METエキソン14変異のスプライス部位領域や変異の種類、同時に見られるMETのコピー数増加、あるいは循環中腫瘍由来DNAでのMETエキソン14変異の検出によって変化しなかった。奏効期間の中央値は9.1か月(95%CI、6.4–12.7)で、無増悪生存期間の中央値は7.3か月(95%CI、5.4–9.1)であった。METエキソン14変異は、NSCLCの分子サブグループの1つでクリゾチニブによるMET阻害が有効なものの特徴である。これらの結果は、METエキソン14変異を有する肺がん患者での標的化治療について治療法がいまだに見つかっていない「アンメットニーズ」に取り組むものであり、NSCLCの発がんに関連する遺伝子異常についての拡大しつつあるゲノム治療薬リストに、さらにクリゾチニブを加えるものである。

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