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変形性関節症:活性化された骨格幹細胞による関節軟骨の再生

Nature Medicine 26, 10 doi: 10.1038/s41591-020-1013-2

変形性関節症(OA)は変性疾患の1つで、関節軟骨の不可逆的で進行性の破壊が起こる。OAの病因は複雑で、遺伝的素因、急性傷害、慢性炎症などの多様な因子が関わっている。今回我々は、常在性の骨格幹細胞(SSC)集団が持つ、年齢(OA発症の一因と考えられている)に関連した軟骨再生能力について調べた。加齢はマウスとヒトの両方で、進行性のSSC喪失や関節での軟骨形成の低下と関連することが明らかになった。しかし、SSCの局所的な増殖は、成体マウスの四肢関節の軟骨表面で微小骨折(MF)手術によって再生応答を刺激することにより、依然として誘発することができた。MFにより活性化されたSSCは繊維組織を形成しやすいが、ハイドロゲル中でBMP2と可溶性VEGFR1(sVEGFR1;VEGF受容体のアンタゴニスト)を同時に局所的に送達すると、MFで活性化されたSSCが分化して関節軟骨が生じるようになった。これらのデータは、OAでの局所的な軟骨疾患の治療として、MFを行った後に常在性幹細胞集団から軟骨の生成を誘導できることを示している。

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