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COVID-19:炎症性サイトカインのシグネチャーはCOVID-19の重症度と生存を予測する

Nature Medicine 26, 10 doi: 10.1038/s41591-020-1051-9

重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)によって引き起こされる過剰な炎症応答が疾患重症度や死亡の主な原因であることは、複数の研究によって明らかにされている。しかし、病因となる炎症の予測バイオマーカーで、標的化可能な免疫経路を導く助けとなるものは全く見つかっていない。我々は、米国ニューヨークのマウントサイナイ医療システムに来院した新型コロナウイルス感染症(COVID-19)患者に対して、入院時に血清インターロイキン6(IL-6)、IL-8、腫瘍壊死因子α(TNF-α)およびIL-1βの迅速な測定が可能なマルチプレックスサイトカインアッセイを実施した。患者(n = 1484)の経過観察は入院後最長41日目まで(中央値は8日)行われ、臨床情報、検査結果、さらに患者の予後についての情報が集められた。我々は、入院時の血清IL-6、IL-8、TNF-αのレベルが、患者生存の強力かつ独立した予測因子であることを見いだした(それぞれ、P < 0.0001、P = 0.0205、P = 0.0140)。疾患重症度、一般的な検査用炎症マーカー、低酸素血症などのバイタルサイン、人口統計データ、そして多様な併存疾患について調整を行った場合でも、IL-6とTNF-αの血清値は疾患重症度と死亡の独立かつ有意な予測因子だった。これらの知見は、2番目の患者コホート(n = 231)で確証された。我々は、COVID-19患者の管理や治療では、血清IL-6およびTNF-αのレベルを考慮して、前向き臨床試験を層別化し、資源配分の指針を立て、治療選択肢を知らせるべきと考える。

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