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患者団体と生物医学:良いことも悪いことも

Nature Medicine 26, 10 doi: 10.1038/s41591-020-1099-6

近年、患者団体は生物医学の研究や管理体制のカルチャーシフトの原動力となっている。健康科学の専門家の多くは、こうした患者団体が研究過程に組み込まれることの利点を評価しているが、その一方で、このような団体が新たに手に入れた発言力への民間からの影響を問題視している人々も少なくない。患者や地域が主体となった団体は、長い間、研究の中心から外れた位置にあり、研究機関や製薬会社の関心を集めようと苦労していた。しかし、最近になって、製薬会社や医療製品規制に関わる機構は、患者を重視する方向に方針を転換しつつある。最も大きな変化は、多くの製薬企業で患者を中心に置いた研究が進められるようになったことだ。患者をパートナーとするこのような体制は、個別化医療や希少疾患の研究を大いに活気づけているが、患者が研究に加わることには、目立つものだけでも、言葉遣いの違い、情報の正確度、プライバシーといったさまざまな問題が生じるため、慎重な検討が必要である。

そして、患者団体の影響力が大きくなるにつれて問題とされるようになってきたのが、利益相反と資金調達の透明性である。多くの患者団体が製薬企業から相当の資金を受け取っているとみられており、資金調達法の透明性の低さだけでなく、その結果として安全上の問題や価格設定について患者側が意見を述べることが難しくなるなど、利益相反の問題は、特に大学などで懸念されている。患者団体との協働を継続していくには、こうした問題についての調査と規制の強化、ガイドラインの設定などが早急に必要だろう。

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