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がん:ゲノムコピー数はトランスフォーメーションの数年前に食道がんを予測する

Nature Medicine 26, 11 doi: 10.1038/s41591-020-1033-y

最近の研究で、異数性とドライバー遺伝子変異は、がんと診断されるより数年も前に生じていることが示されている。我々は、このようなゲノムシグナルが、がんの早期検出や先制的治療に使えるかを、腫瘍性の前駆病変であるバレット食道を例として用いて評価した。最長15年間にわたるバレット食道の監視で88人の患者から採取された777例の生検検体に対して低読み取り深度の全ゲノム塩基配列解読を行い、病変が進行性か安定かは、組織病理学的トランスフォーメーションが起こる10年前でも、ゲノムシグナルによって見分けられることが分かった。この知見は、76人と248人の患者からなる無関係の2つのコホートで確認された。このような方法は低コストであり、また標準的な臨床生検検体に適用できる。ゲノムによる分類は、組織病理学と臨床症状に基づく現行の管理ガイドラインと比べて、高リスク患者に対するより早くからの治療を可能にするだけでなく、がんを発症する可能性の低い患者に対する不要な治療やモニタリングを減らすことができる。

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