COVID-19：Ad26ワクチンはハムスターでSARS-CoV-2が引き起こす重篤な臨床疾患を防御する

ヒトの新型コロナウイルス感染症（COVID-19）は、臨床的には軽い疾患であることが多いが、罹患者の一部は重症肺炎や呼吸不全を発症して死亡する。ハムスターと非ヒト霊長類での重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2（SARS-CoV-2）感染の研究では、通例は軽症の臨床疾患が報告されており、SARS-CoV-2ワクチンの前臨床試験では、非ヒト霊長類で上・下気道でのウイルス複製の減少が実証されている。本論文では、ハムスターでのSARS-CoV-2高投与量鼻腔内感染が、一部のハムスターで組織中のウイルス複製レベルの上昇、広範な肺炎、体重減少、死亡などの重篤な臨床症状を引き起こしたことを示す。アデノウイルス血清型26ベクターをベースとし、安定化したSARS-CoV-2スパイクタンパク質を発現するワクチンによる単回免疫は、結合性および中和活性のある抗体応答を誘導し、SARS-CoV-2による体重減少、肺炎、死亡に対して防御効果があった。これらのデータは、SARS-CoV-2による臨床疾患をワクチンが防御することを示している。このモデルはSARS-CoV-2ワクチン、治療薬や発病機序の前臨床研究に役立つだろう。