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小児がん:全ゲノム、トランスクリプトームおよびメチロームのプロファイリングは、高リスクの小児がんでの実用化可能な標的の発見を促進する

Nature Medicine 26, 11 doi: 10.1038/s41591-020-1072-4

Zero Childhood Cancer Programは、転帰不良でまれな再発性もしくは難治性のがんの小児患者を助けるための精密医療プログラムである。我々は、高リスクの小児がん患者から提供された252例の腫瘍に対して行われた腫瘍と生殖細胞系列の全ゲノム塩基配列解読(WGS)とRNA塩基配列解読(RNAseq)を使って、968個の報告価値のある分子異常を明らかにした(WGSとRNAseqの両方が39.9%WGSのみが35.1%、RNAseqのみが25.0%)。これらの患者のうち93.7%は、生殖細胞系列もしくは体細胞の異常が少なくとも1つあり、71.4%で治療標的が見つかり、5.2%で診断が変更された。WGSでは、16.2%の患者で病因となるがん素因バリアントが見つかった。76例の中枢神経系腫瘍で、メチローム解析は71.1%の患者で診断を確定し、2人の患者(2.6%)で診断の変更に関わった。現在までに43人の患者が推奨治療を受け、うち38人が評価可能であり、31%で臨床的有用性の客観的証拠が見られた。包括的な分子プロファイリングは、事実上全ての高リスクがんの分子基盤を明らかにしていて、これは一部の患者で臨床的に役立つものとなろう。

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