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心筋症:調節異常のリボ核タンパク質顆粒はRBM20遺伝子編集ブタで心筋症を促進する
Nature Medicine 26, 11 doi: 10.1038/s41591-020-1087-x
リボ核タンパク質(RNP)顆粒は生体分子凝縮体であり、mRNA代謝、細胞シグナル伝達、生体ポリマーの集合、生化学反応、細胞の厳しい状況に対するストレス顆粒応答を組織化・管理する液–液相分離液滴である。調節異常となったRNP顆粒は、神経筋変性疾患を促進するが、これまでに心不全と関連付けられたことはない。今回我々は、ヒトRBM20(RNA-binding motif protein-20)の病因性R636SバリアントをコードするRBM20対立遺伝子をホモ接合で持つゲノム編集ブタで、先天性拡張型心筋症(DCM)の分子基盤を調べた。その結果、RNP顆粒は筋形質に異常に蓄積することが分かり、この知見はR636S対立遺伝子を持つDCM患者の心筋や再プログラム化した心筋細胞で確認された。筋形質の調節異常RBM20 RNP顆粒は液体様の物質特性を示し、細胞骨格要素に沿って規則的な間隔で付着し、心臓生体分子の相分配を促進し、ストレス顆粒と融合した。我々の結果は、調節異常RNP顆粒を心筋の細胞病理生物学的性質、およびRBM20変異によりDCMを発症した遺伝子編集ブタや患者における心不全と結び付けるものだ。