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孤発性水頭症:エキソーム塩基配列解読が示す孤発性先天性水頭症での出生前神経発生とグリア新生の遺伝的崩壊

Nature Medicine 26, 11 doi: 10.1038/s41591-020-1090-2

先天性水頭症(CH)は脳室拡大を特徴とし、脳脊髄液(CSF)が過剰に貯留する疾患であると考えられている。治療法はCSFの流路を変更する脳神経外科手術で、死亡率や失敗率が高い。手術後の患者の一部では、神経発達の転帰不良や、脳室拡大の残存が見られ、これは、この疾患の発生機序の解明が十分でないことをはっきり示している。我々は、孤発性CHで脳外科手術を受けた後の患者381人(うち232人は両親と子からなる3人組)に対して全エキソーム塩基配列解読を行い、症例の17%以上は有害なde novo変異が原因であって、5つの遺伝子がかなりのde novo変異負荷をもたらすことを明らかにした。全体では、まれで大きな影響を示す有害変異が、孤発性CHの症例のほぼ22%に関係していることが示された。複数のCH遺伝子が神経幹細胞の生物学的性質の重要な調節因子であり、これらがヒトの転写ネットワークや胎児の神経細胞および神経膠細胞の新生に関連する細胞タイプに集中している。以上の結果は、CSFの動態の障害ではなく、脳発達の初期段階での遺伝子破壊が、かなりの数の孤発性CH患者の重要な病理学的機序であることを示している。

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