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神経精神疾患:22q11.2欠失症候群のヒト細胞モデルに見られるニューロンの異常
Nature Medicine 26, 12 doi: 10.1038/s41591-020-1043-9
22q11.2欠失症候群(22q11DS)は、神経精神疾患の一般的な遺伝的原因で、浸透率が高い。本論文では、22q11DS患者15人と対照の15人から誘導多能性幹細胞を作製し、三次元(3D)大脳皮質オルガノイドに分化させた。その100日間にわたる転写プロファイリングから、分化の確実性が非常に高いことが示され、ニューロンの興奮性関連遺伝子の変化が明らかになった。電気生理学的手法やライブイメージングを用いて、オルガノイド由来の皮質ニューロンと2D由来の皮質ニューロンの両方で、自発的なニューロン活動とカルシウムシグナル伝達に異常があることが突き止められた。カルシウムの異常は静止膜電位の変化に関係していて、これが電位依存性カルシウムチャネルの異常な不活性化につながった。DGCR8のヘテロ接合性喪失はこのような興奮性とカルシウムの表現型を再現し、DGCR8の過剰発現はこれらの異常を救済した。さらに、22q11DSのカルシウム異常は抗精神疾患薬の適用によっても回復できた。まとめると我々の研究は、幹細胞由来モデルが神経精神疾患の遺伝子型に関連する細胞表現型を明らかにし、救済するのにどのように使用できるかを明確に示している。