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嚢胞性繊維症:嚢胞性繊維症の幼児の糞便に見られるディスバイオーシスは初期の線形成長不全と関連する
Nature Medicine 26, 2 doi: 10.1038/s41591-019-0714-x
嚢胞性繊維症(CF)の幼児では、そのほとんどに膵外分泌機能不全が見られ、結果として栄養吸収障害が起こるため、膵酵素の経口補充が必要となる。CF発見のための新生児スクリーニングによって、より早い診断、栄養介入および酵素補充が可能になったため、CFの幼児のほとんどは12か月齢までに体重目標を達成できる。にもかかわらず、CFの幼児の大半は、出生後1年間にわたって線形成長が劣り続ける。このような早期の線形成長不全は、長期的な呼吸機能低下と生存減少に関連しているが、CF幼児の体長決定因子は明らかになっていない。CF幼児の消化管(GI)の複数の特徴(炎症、消化不良や吸収不良など)は、腸のディスバイオーシス(dysbiosis)を促進する可能性がある。GIマイクロバイオームの活動性は内分泌機能に影響することが知られているので、CF罹患幼児の腸マイクロバイオームは成長にも影響を与える可能性がある。我々は、正常な身長のCF幼児と低身長のCF幼児を識別可能な、早期に見られる進行性の糞便中ディスバイオーシスを明らかにした。このディスバイオーシスには、GIの健全性、栄養獲得と成長ホルモンシグナル伝達に重要な機能を発揮する細菌分類群の存在量の変動(バクテロイデス門の存在量減少とプロテオバクテリア門の存在量増加など)が関わっている。従って、GI微生物相は、CF罹患幼児での低い線形成長を矯正するための治療標的となる可能性がある。