Perspective
がん免疫療法:単一細胞ゲノミクスによる次世代免疫療法の開発
Nature Medicine 26, 2 doi: 10.1038/s41591-019-0736-4
単一細胞ゲノミクスの最近の進歩は著しく、その医薬品開発への応用、特にがん免疫療法開発への応用が急がれている。現在の免疫療法パイプラインは、機能的転帰と単純な細胞および分子レベルでの読み出しに重点を置いている。そのため、免疫療法で使われる薬の標的となる細胞や経路の機構の詳細な解明が欠けていて、それが臨床試験の成功率を制限している。臨床コホートやモデル系で、免疫療法薬の標的となる細胞や経路の解析が投薬の前後に高い分解能で行われれば、事態が大きく進展するだろう。これを行うことで、効果的な免疫療法の迅速な開発と、相乗的な効果をもたらす薬剤の組み合わせのデータに基づいた設計が可能になるだろう。本稿では、発展しつつある単一細胞ゲノミクス技術が、治療標的の発見と医薬品開発を促進する手段としてどのような働きをなし得るかについて論じる。