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がん免疫療法:完全ヒト型結合ドメインを持つ抗CD19 CAR T細胞のB細胞リンパ腫患者での安全性と実行可能性

Nature Medicine 26, 2 doi: 10.1038/s41591-019-0737-3

抗CD19キメラ抗原受容体(CAR)を発現するT細胞は、B細胞リンパ腫に対する有効な治療薬の1つだが、しばしば神経毒性が生じる。我々は、新しい抗CD19 CAR Hu19-CD828Zを発現するT細胞の第1相FIH臨床試験(NCT02659943)として、この細胞を20名のB細胞リンパ腫患者に投与した。主要目的は、Hu19-CD828Z T細胞療法の安全性と実行可能性の評価であり、副次的目的にはCAR T細胞の血中レベル、抗リンパ腫活性、2度目の注入および免疫原性の評価が含まれていたが、これらすべての目的が達成された。Hu19-CD828Z T細胞を投与された患者の55%で完全寛解が得られた。Hu19-CD828Z T細胞は臨床で、我々のグループが以前テストした抗CD19 CARであるFMC63-28Z(これはマウスの結合ドメインを持ち、アキシカブタゲンシロロイセルに使われている)を発現するT細胞と似た抗リンパ腫活性を示した。しかし、Hu19-CD828Z T細胞を投与された患者で重篤な神経毒性が生じたのは5%だけであったのに対して、FMC63-28Z T細胞を投与された患者では50%に同程度の毒性が認められた(P = 0.0017)。Hu19-CD828Zを発現するT細胞が放出したサイトカインのレベルは、FMC63-28Zを発現するT細胞よりも低かった。Hu19-CD828Z T細胞を投与された患者の血中でのサイトカインレベルは、FMC63-28Z T細胞を投与された患者の血中レベルよりも低かった。このことは、Hu19-CD828Zに伴う神経毒性がより低レベルだったことを説明できる可能性がある。CAR発現T細胞が放出するサイトカインレベルは、CARの設計に含まれるヒンジドメインと膜貫通ドメインに大きく依存していた。

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