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免疫:アラムアジュバントに結合している人工的な免疫原は体液性免疫を増強する
Nature Medicine 26, 3 doi: 10.1038/s41591-020-0753-3
アジュバントは、サブユニットワクチンの効果に重要である。水酸化アルミニウム(アラム)は、最もよく使われているワクチンアジュバントだが、そのアジュバント活性は弱いことが多く、抗体応答を引き起こす機序は依然として解明が進んでいない。我々は、ホスホセリン(pSer)残基の繰り返しからなる短いペプチドで免疫原を部位特異的に修飾すると、アラムへの結合性が増大し、免疫原のバイオアベイラビリティが延長することを実証した。アラム中で調製されたpSer修飾免疫原は、従来のアラムに吸着させた免疫原と比べると、胚中心や抗体、中和抗体、長寿命のメモリー形質細胞の応答を大幅に亢進させた。機序としては、pSer免疫原:アラム複合体はナノ粒子を形成し、これはリンパ節に移行して多価で指向性のある抗原提示を行うことでB細胞の活性化を誘導する。抗原で修飾されたアラム粒子がB細胞によって直接取り込まれると、抗原のプロセシングや提示経路が上方調節されて、B細胞活性化がさらに増強された。これらの結果は、アラムの作用機序についての知見をもたらし、臨床用アジュバントを使ったサブユニットワクチンに対する体液性免疫を大幅に改良するための容易に臨床応用可能な手法を示している。