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がん:TMEM30Aの機能喪失型変異はB細胞性リンパ腫の発生を促進すると同時に治療標的となり得る脆弱性をもたらす

Nature Medicine 26, 4 doi: 10.1038/s41591-020-0757-z

細胞膜の不可欠な構成成分であるホスファチジルセリンはマクロファージに認識される「eat-me」シグナルで、TMEM30A(transmembrane protein 30A)はホスファチジルセリンの細胞膜での非対称性分布の維持に関わっている。ブリティッシュコロンビア州の集団ベースの疾患登録から抽出されたびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)の統合的ゲノミクス・トランスクリプトミクス解析により、TMEM30Aの2対立遺伝子機能喪失型変異の頻発が明らかになった。この変異は良好な予後と関連しており、またDLBCLに特異的に観察される。TMEM30Aのノックアウト系を用いて、TMEM30Aノックアウト細胞株やTMEM30Aが変異した初代培養細胞で化学療法剤の細胞内蓄積が増加していることが観察され、これは治療転帰改善の説明となる。また、TMEM30Aノックアウトモデルでは、腫瘍関連マクロファージが増加し、抗CD47抗体による腫瘍増殖阻害効果が増強されることが明らかになった。これとは対照的に、TMEM30Aの機能喪失は、抗原刺激後のB細胞シグナル伝達を増強し、これはB細胞リンパ腫発生の際の選択的優位性の機序となり得る。これらの結果は、B細胞リンパ腫発生にTMEM30Aが担う多面的な役割を明確に示し、またがん細胞の内因的および外因的な脆弱性の特徴を明らかにしていて、このような脆弱性は治療標的として利用可能と考えられる。

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