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COVID-19:米国での最初の新型コロナウイルス感染症患者12人の臨床的およびウイルス学的特徴
Nature Medicine 26, 6 doi: 10.1038/s41591-020-0877-5
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の詳しい病勢進行を疫学的特徴およびウイルス学的特徴と共に記述したデータは限られている。この症例集積研究では、2020年1月20日~2月5日の期間に確定診断された、米国で最初のCOVID-19患者12人(以前に報告した4人の患者を含む)について報告する。呼吸器系、糞便、血清および尿の検体に対しては、SARS-CoV-2のリアルタイム逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(rRT-PCR)検査、ウイルス培養、および全ゲノム塩基配列解読が行われた。年齢中央値は53歳(範囲:21〜68歳)で、8人は男性だった。疾患発症時の共通した症状は、咳(n = 8)と発熱(n = 7)だった。患者の症状は軽度から中程度で、7人が入院し、発症2週目に臨床的に、もしくは検査結果に悪化の兆候が見られた。いずれの患者も機械換気は必要とせず、全員が回復した。全員の呼吸器検体中で、一般的には発症後2〜3週にわたって、SARS-CoV-2のRNAが検出された。上気道でのリアルタイム逆転写PCRのサイクル閾値は1週目が最も低いことが多く、SARS-CoV-2は発症早期に採取された呼吸器検体から培養された。これらのデータは、SARS-CoV-2の自然経過についての知見をもたらす。感染力は不明だが、ウイルスRNAレベルが最も高くなるのは発症1週目であることが明らかになった。臨床医は、一部の患者が発症2週目に増悪する可能性があることを予期すべきであろう。