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遺伝子治療:IgGを切断するエンドペプチダーゼにより可能になった抗AAV中和抗体存在下でのin vivo遺伝子治療

Nature Medicine 26, 7 doi: 10.1038/s41591-020-0911-7

アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターに対する中和抗体は、ヒトで非常に広範囲に広がっており、肝臓への形質導入やベクター再投与を阻害するので、in vivo遺伝子治療の主要な制限要因となっている。抗AAV抗体を克服するための戦略は研究されているが、免疫抑制が関わるものが多く、既存の抗体の効率の良い除去ができない。イムリフィダーゼ(imlifidase;IdeS)は循環中のIgGを分解できるエンドペプチダーゼで、現在、移植患者で試験が行われている。今回我々は、遺伝子治療の条件下でIdeSが抗AAV抗体を除去できるかを調べた。in vitroでは、プールされたヒトIgG(静注用Ig)は、エンドペプチダーゼ投与により効率的に切断されることが分かった。静注用Igで受動免疫したマウスでは、IdeS投与により抗AAV抗体が減少し、肝臓への効率的な遺伝子導入が可能になった。この手法は、野生型AAVの自然宿主である非ヒト霊長類にまでスケールアップされた。AAVベクター注入前のIdeS投与は安全で、ベクター再投与の条件下でも、肝臓への形質導入が増強された。さらに、IdeSは、前向き遺伝子治療臨床試験参加者の血漿などのヒト血漿検体の抗AAV抗体レベルをin vitroで低下させた。これらの結果は、AAVに基づく遺伝子治療に対して既存の抗体を克服するための解決法候補を示している。

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