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COVID-19:コウモリおよびヒトの腸オルガノイドへのSARS-CoV-2感染

Nature Medicine 26, 7 doi: 10.1038/s41591-020-0912-6

新型コロナウイルスであるSARS-CoV-2(severe acute respiratory syndrome coronavirus 2)は、2019年12月に中国武漢市においてヒトから検出され、それ以来、世界中に広がり続けている。2020年4月16日の時点で、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)であることが確認された症例は200万件を超えている。全ゲノム塩基配列解析に基づいて、SARS-CoV-2はキクガシラコウモリで見つかったSARS関連コロナウイルスと相同性が高いことが示されている。今回我々は、Rhinolophus sinicus種のキクガシラコウモリに由来し、コウモリの腸上皮を再現できる増幅可能な腸オルガノイドを樹立し、特性を調べた。このようなコウモリエンテロイドはSAS-CoV-2感染に十分な感受性を示し、ロバストなウイルス複製が維持される。一部のCOVID-19患者で見られた消化器症状の発症や糞便検体でのウイルスRNAの検出は、SARS-CoV-2が呼吸器だけでなく、腸への感染も引き起こす可能性を示唆している。我々は、SARS-CoV-2がヒト腸オルガノイドで活発に複製することを示し、下痢症状のあるCOVID-19患者の便検体から感染能のあるウイルスを単離した。まとめると、我々はコウモリ腸管上皮の、増幅可能なオルガノイド培養系を初めて樹立し、SARS-CoV-2がコウモリの腸細胞に感染できることの証拠を示した。また、ヒト腸オルガノイドでSARS-CoV-2がロバストに複製されることは、ヒト腸管がSARS-CoV-2の伝播経路である可能性を示唆している。

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