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腸内細菌相:ライフスタイルの変更を強制された後の少数民族で見られたマイクロバイオームと健康への影響
Nature Medicine 26, 7 doi: 10.1038/s41591-020-0963-8
現代のライフスタイルは慢性疾患のリスクを増加させ、その一因はマイクロバイオームの変化によるものだが、少数民族が強いられているライフスタイルが健康にどのように影響するのかについてはあまり調べられていない。ヒトの一生の早い時期、すなわちマイクロバイオームが組み立てられ、免疫系が成熟しつつある時期に、ライフスタイルはマイクロバイオームに影響を及ぼす。さらに、同じ地理的位置に居住している遺伝的に同じ集団と民族的に異なるグループの研究によって、ライフスタイルの影響は遺伝的因子や地理的因子とは分離して扱われてきた。民族的に異なる亜集団であるアイリッシュ・トラベラーのライフスタイルは、遊動を実際上終了させ、生活条件を変更させた2002年の法律制定によって変化した。腸マイクロバイオームの比較メタゲノミクスによって、アイリッシュ・トラベラーは、非工業化社会のものと似た微生物相を保持していることが示された。彼らの微生物相は、非食餌要因と関連していて、マイクロバイオームに関連する代謝疾患リスクとのつながりはそれに釣り合っている。我々の知見は、少数民族がライフスタイル変更を強制された際には、マイクロバイオームに関連する公衆衛生的影響を受けることを示唆している。