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白血病:クサツズマブでCD70を標的とすると、メチル化阻害剤を投与された患者で急性骨髄性白血病幹細胞が除去される

Nature Medicine 26, 9 doi: 10.1038/s41591-020-0910-8

急性骨髄性白血病(AML)は、白血病幹細胞(LSC)によって引き起こされる。LSCは従来の化学療法に抵抗性で、再発の主原因である。メチル化阻害剤(HMA)は、高齢のAML患者あるいは標準治療を受けることができないAML患者に対する標準治療だが、反応は中程度で持続性はない。本論文では、LSCはHMA投与に応答して腫瘍壊死因子リガンドファミリーのCD70の発現を上昇させ、それによってCD70/CD27シグナル伝達が増強されることを示す。CD70/CD27シグナル伝達を遮断したり、CD70を発現するLSCをクサツズマブ(抗体依存性細胞傷害活性を増強したヒトαCD70モノクローナル抗体)の標的としたりすると、in vitroおよび異種移植実験でLSCが除去された。これらの前臨床実験の結果に基づいて、これまでに治療を受けていないAML高齢患者でクサツズマブを単剤療法として単回投与し、続いてHMAであるアザシチジンとの併用療法を行う臨床第1/2相試験を行った(NCT03030612)。我々は、この臨床試験の第1相用量漸増試験部分についての結果を報告する。登録された12人の患者の血液学的反応は、完全寛解8人、血球数回復が不完全な完全寛解2人、部分寛解2人であり、また4人の患者でフローサイトメトリーで10-3未満の微小残存病変陰性が達成された。応答にかかる期間の中央値は3.3か月であった。このデータのカットオフ時点では、無増悪生存期間の中央値にはまだ達していなかった。用量制限毒性は報告されておらず、クサツズマブの最大耐量には達しなかった。クサツズマブ投与がLSCを大幅に減少させ、骨髄分化とアポトーシスに関係する遺伝子シグネチャーを引き起こしたことは重要である。

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