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バッテン病:CLN3バッテン病マウスモデルでのアンチセンスオリゴヌクレオチドによる治療の有効性

Nature Medicine 26, 9 doi: 10.1038/s41591-020-0986-1

CLN3バッテン病は、常染色体劣性遺伝して神経変性を起こすリソソーム蓄積症であり、リソソーム膜タンパク質をコードしているCLN3の変異が原因である。この疾患には疾患修飾療法はなく、新生児2万5000人に対して最大1人という割合で幼少期早期に発症し、通常は20~30歳までに死に至る。CLN3バッテン病の患者のほとんどは、CLN3のエキソン7と8を含む領域が欠失するために(CLN3∆ex7/8)、リーディングフレームのシフトが生じる。今回我々は、この欠失を持つマウスでは、エキソンスキッピングを引き起こすアンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)を使って、オープンリーディングフレームを元に戻すことが、効果的な治療法となることを明らかにする。新生仔マウスでは、エキソン5を標的とするASOの単回投与が引き起こすエキソンスキッピングは1年以上維持されるロバストなもので、この治療だけで、Cln3∆ex7/8マウスの運動協調性が改善され、病理組織学的病状が軽快し、この疾患の新たなモデルマウスの生存率が上昇した。ASOはまた、CLN3バッテン病患者由来の細胞株でもエキソンスキッピングを引き起こした。今回の結果は、ASOを用いるリーディングフレーム修正がCLN3バッテン病の治療法として有用であることを実証し、同じような戦略を用いる他の疾患の治療におけるASO治療の適用範囲を拡大するものである。

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