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COVID-19:オランダで情報に基づく公衆衛生関連政策決定のために行われたSARS-CoV-2全ゲノムの迅速な塩基配列解読と解析
Nature Medicine 26, 9 doi: 10.1038/s41591-020-0997-y
2019年12月下旬、中国武漢の市場の1つと関連付けられた原因不明の肺炎の症例集団が報告された。原因となる病原体は新種のSARS-CoV(Severe acute respiratory syndrome-related coronavirus)であることが突き止められ、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)と命名された。4月16日までにウイルスは185の国に広がり、200万人以上が感染し、その結果、13万人以上が死亡した。オランダでは、SARS-CoV-2感染の最初の症例は2月27日に確認された。感染症の流行はイタリア、オーストリア、ドイツ、フランスで発生した複数のさまざまな形の感染から始まり、それに各国内での感染拡大が続き、さらに国外、つまりオランダ南部にも広がった。準リアルタイムからリアルタイムでの全ゲノム塩基配列解読解析と疫学的研究を組み合わせることで、特定集団内でのSARS-CoV-2伝播の範囲の信頼性の高い評価ができるようになり、オランダでのSARS-CoV-2伝播を制圧するための早期の政策決定が容易になった。本研究では、このようなデータがどのようにして得られ解析されたのか、またSARS-CoV-2全ゲノム塩基配列解読を疫学的データと組み合わせたものがどのように使われて、オランダでの公衆衛生の政策決定がなされたのかを示す。