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潰瘍性大腸炎:潰瘍性大腸炎における大腸CD8+ T細胞の単一細胞アトラス
Nature Medicine 26, 9 doi: 10.1038/s41591-020-1003-4
組織常在型記憶CD8+ T細胞のような、抗原刺激を受けた大腸のリンパ球は、繰り返される抗原曝露に対して速やかに応答できる。しかし、それらの細胞表現型や、それらが免疫調節や炎症を促進する機構については分かっていない。今回我々は、T細胞受容体レパートリー解析やマスサイトメトリーと共に単一細胞トランスクリプトミクス解析を行い、健常者および潰瘍性大腸炎(UC)患者でのヒト大腸CD8+ T細胞の不偏的アトラスを作成した。CD8+ T細胞の組成には大規模な不均一性が見つかり、その中には増殖したエフェクターCD8+ T細胞や最終分化したポストエフェクターCD8+ T細胞が含まれていた。UC関連エフェクターCD8+ T細胞は組織破壊を引き起こしたり、腫瘍壊死因子(TNF)-αを産生したりできるのに対し、ポストエフェクターCD8+ T細胞は自然免疫細胞のシグネチャーを獲得して、過剰な炎症を軽減し得る調節機能を示す。従って、我々は健常者とUC患者での大腸CD8+ T細胞の表現型を特定し、それらのクローンの関係性を明確にした。また、IL-26を発現する、最終分化した機能不全のUC CD8+ T細胞の特性を調べ、これらの細胞がヒト化IL-26トランスジェニックマウスモデルで急性大腸炎を軽減することを明らかにした。