臨床試験:人工知能が関わる介入の臨床試験報告作成に関するガイドライン:CONSORT-AI増補版
Nature Medicine 26, 9 doi: 10.1038/s41591-020-1034-x
CONSORT 2010声明は、無作為化試験の報告書を作成するための最小限のガイドラインを示している。このガイドラインが広く使用されるようになったことは、新規な介入の評価で透明性を確保するのに役立っている。さらに最近になって、人工知能(AI)が関わる介入は、それが健康転帰へ及ぼす影響を実証するために、厳密な前向きの評価を経る必要があるという認識が高まってきた。CONSORT-AI(Consolidated Standards of Reporting Trials–Artificial Intelligence)増補版は、構成要素としてAIを含む介入を評価する臨床試験のための新たな報告用ガイドラインであり、臨床試験プロトコルのための声明であるSPIRIT-AI(Standard Protocol Items: Recommendations for Interventional Trials–Artificial Intelligence)と並行して制作された。これら2つのガイドラインは共に、複数段階の合意過程を経て作成された。まず、文献の検討や専門家との協議により29の項目候補が作られ、これらが二段階のデルファイ調査で国際的な複数の利害関係者からなるグループによって評価され(103人の利害関係者による)、次いで2日にわたるコンセンサス会議で承認を受け(31人の利害関係者による)、そしてチェックリストパイロットを介して改良された(34人の参加者による)。このCONSORT-AI拡張版には14の新項目が含まれていて、これらはAI介入の臨床試験プロトコルに十分に重要だと見なされたものである。これらの新項目は、CONSORT 2010の主要項目に加えて、規定通りに報告されなくてはならない。CONSORT-AIは、調査者が、使用の際に必要となる指示や技術、AI介入が組み込まれる設定、AI介入の入力および出力データの取り扱い、ヒトとAIの相互関係およびエラーケース解析の提供などの、AI介入についての明確な諸記述を行うことを推奨している。CONSORT-AIは、AI介入のための臨床試験プロトコルの透明性や完全性を向上させるのに役立つだろう。このガイドラインの使用は、編集者やピアレビューアーに加えて、一般の読者にとっても、計画された臨床試験の設計とバイアスのリスクを理解し、解釈し、批判的に判定することの助けとなるだろう。